2013年12月13日

形見。

「雪の焰」

雪の焰2.jpg

昨日、あるテレビ番組を観ていたら、「相続」の話しをしていた。相続にも「負の相続」、亡親の借金の返済を引き継がなくてはならないケースもあり、相続するものがあったらあったで大変だなという思いを持った。

鉄人の亡父は、財産も借金も全く残さなかった。自分の葬式代だけ残してこの世を去ったのである。遊び人で大酒飲みの男であったが、ある意味見事な人生である。(母は随分苦労した様だが・・・。)

ある日、財産が何にもないので、家の中にあるもので欲しいものを形見としてやると母が言った。別に欲しいものは何も無かったのだが、ひとつだけあった。

鉄人には妹がひとりいる。妹にも欲しいものを言わせた。ところが困ったことが起こった。というか驚くことが起こった。何と、鉄人が欲しがったただひとつのものと、妹が欲しがったものが同じものだったのである。

それは一冊の古い歌本であった。英和辞典くらいの大きさのもので、古い歌が沢山載っていた。そしてその歌ごとに作者の違う見事な挿絵が飾られていた。子どもの頃、その歌本を兄妹で何時も見て遊んでいたのである。

まさかそんな古い歌本を妹が欲しがるとは思わなかった。遊び人であまり家にいなかった父親の思い出の品として、お互い一番印象に残っていた様だ。

その歌本は今、妹の手元にある。鉄人は安っぽいセイコーの腕時計を貰った。鉄人、この腕時計の記憶も印象もほとんどない。鉄人が親元を離れてからのものだからだ。まあ仕方ないか。

財産としては、何にも残さなかった父だが借金も無かった訳で、そのお陰か兄妹今でも変わらず仲は良い。かみさんとは親友の様な関係で、毎日の様に電話をし合っている。

「仲良きことは美しき哉」、これで良かったのだと思っているのである。




posted by masa at 10:53| Comment(0) | 日記
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