2009年08月28日

修行はつらいよ 第10話 <生きる意味ってあるの?>

Photo 慈悲の微笑
jihinohohoemi.jpg

人間に生まれて鉄人など結構経っているので、たまにつれづれ考えることがあります。生きる意味などあるのだろうかと。 
 
何で生きているのだろう。働かなきゃあいかんし、腹も減る。年とって身体にガタはくるし、人間関係もホントに大変。何で生きているのか。生きる意味とは何なのか。みなさんも少しは考えてみたことがあると思います。

そこでおシャカさまが「生きる意味はあるのか」という問いに応えた答えとは、

「生きることに意味などありませんよ」

これが答え。

「え〜!そんなあ〜!それが答え?」

じゃあ一所懸命働いて家庭を守り子供を育てていることは、意味がないというのか。努力して難しい学校に入り、一流の会社に入るのは意味がないというのか。慈善事業やボランティアは。平和運動は。自然保護は。どうなんどんなん!!

何か生きる張り合いというか、夢を失いそうですね。

「生きる意味があるとすれば悟りを開き、解脱することだけ です」

と、おシャカさまは続けます。

それ以外は別になんつーことはありません。と、にべもない返事。

正覚者といわれる人類最高の英知であるおシャカさまの言葉です。やはりその答えには当然理由があります。

では動物と人間を比較してみましょう。まず誕生。人間の赤ちゃんは親や親の代わりになる誰かがいないと、一日も生きていられません。動物の赤ちゃんも最初は母乳で育ちますが独り立ちする早さは人間の赤ちゃんとは比較にならない早さです。昆虫なんか親の世話にもなりませんね。動物に軍配。

子育ても野生の動物の親はちゃんと間違わずに子供を教育します。人間。まず親の教育の方が先、という親がいっぱいいます。動物に軍配。

人間には着るものが必要ですが、動物にはいりません。これも動物に軍配。動物は環境破壊も自然破壊もしません。戦争もしません。全部動物に軍配が上がりますね。

で、動物は生きる意味など考えているでしょうか。いませんね。

ただ生きている。「人間も同じだよ」というのがおシャカさまの考えなのです。

ほとんどの人間の場合、生きる意味とか目的は「物質的な意味や目的」なのです。それが強い欲望に繋がり、今地球をのっぴきならない状態まで持って行っている訳です。人間がしたんですよ。

「ねえ意味ないでしょう」という、おシャカさまの言葉になる訳ですね。

ここからはちょっと難しい話になるのですが、初期仏教では、時間の単位を「刧」(ごう)というような言葉を使って表現します。「刧」とはとてつもなく長い時間という意味で、具体的には、ひとつの宇宙が生まれ死んでいく時間の長さのことを言いますが、イメージすら出来ませんね。

このとてつもない長さの時間の間に数えきれないほどの輪廻転生を繰り返し、今、我々が生きているというのが仏教の見方です。

輪廻転生は仏教にとっては当たり前のことで、議題にさえ上りません。我々の人生はこの無数の輪廻転生のほんの一コマ。生まれては一瞬にして消えていく泡みたいなものです。

そしてひとつの生を終えた瞬間にまた次の生に転生します。これがおシャカさまが説く生命の本質です。そして次の生が人間とは限らない。というのが初期仏教の考え方。

いみじくも以前ダライラマが「私の次の生は蟻かもしれない」と言ったそうです。当然このことを知っていての発言ですね。ということは連綿と繋がる命の連鎖には、命の格差など存在しないことが解ります。

「生命は平等である」と常々説いていたおシャカさまの教えは、真理かもしれないということに気づかされるのです。それが「生き物を殺してはいけません」という教えに繋がるのですね。

そうして生命は終わることのない輪廻転生の中で変化生滅を続け、苦しい意味のない生を送り続けるのです。では生滅し続ける生命が、なぜたまに人間として生を受けるのか。それは人間にしか出来ないことがあるから。

それが仏教の目的である「解脱」ということになるのです。「解脱」とは繰り返される輪廻転生の輪から抜け出すことを言います。

それは「生きるとは意味がなく苦しいもの」という輪廻から抜け出し、完全に解放されることを意味します。

ですからこれ以外には「生きる意味などない」ということになるのです。

そして「解脱」は、人間以外の生命には不可能だとおシャカさまは説きます。それは人間だけが「解脱」するための修行が出来るからです。そういう理由で「解脱」を求めた時だけ人間は「生きる意味」を持つのです。
posted by masa at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 修行はつらいよ
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