飛行機が月に飛び込んだ!!まさにそんなシーンだった。今夜は中秋の名月である。その夜にふさわしい見事な月が、鉄人のスタジオから見えていた。
何時もの見慣れた風景なのであまり写欲が湧かなかったのだが、折角の名月なので一応撮っとくか程度の軽い気持ちでカメラを月に向かって構えた。
意外と思われるかもしれないが、手持ちである。月は意外に明るいのでシャッタースピードが稼げる。それと夜だからと下手に三脚を使ってスローシャッターを切ると、月が動いて歪んで写るのだ。
満月はそのまん丸い形が命。増感してしてシャッタースピードを速くする。そうすれば手持ちの望遠でもブレることなく写真が撮れるのである。それと月の露出がオーバーにならない様に気をつけたい。
気楽な気持ちでカメラを構えた先に飛行機が飛んで来た。夜なのでその形は見えず、翼に先に付いているライトの赤い点滅が飛行機の存在を教えている。
そしてしばらくしているとその点滅が月に向かっているではないか。鉄人思わず独り言を言う。「そのまま月に飛び込め!!」
次の瞬間、その赤い点滅は飛行機のシルエットになり月に飛び込んだのである。
千載一遇である。中秋の名月に浮かぶ飛行機のシルエット。計算すれば撮れるかもしれないが、たまたま撮れたにしては出来過ぎである。
カメラを手にしているとたまにこんなことがある。