「森の気」

さて今日は、我家に越してくる母の現在住んでいる家の片付けのクライマックスである。
鉄人の家族四人全員で参加する。我家は息子ふたりなので、こういう力仕事が必要なときには結構役に立つ。片付けの流れとしては、男どもがタンスなどの大型の家具を運び出し、庭でそれをぶち壊す。
我家の母の部屋には入らないし、家具も古く価値はない。それらをぶち壊し、例の変な友人がトラックに乗せ易い様板状にバラバラにするのである。
役割分担は指示しなくても自然に決まる。鉄人と次男が家具を庭まで運ぶ役。長男とこれまた次男がぶち壊し役。鉄人はぶち壊した家具を整理する役である。
かみさんは、母が必要なものと要らないものを分ける仕事をする。母は、鉄人達が勝手に必要なものを捨てやしないかと見張り役をしていた。猫は自分の居場所がなくなり右往左往している。猫の手も借りたいけどやっぱり猫は役に立たない。
何せ四十年近く住んでいた家である。家具を退かした後の埃や汚れが尋常ではない。母は掃除、洗濯、料理、主婦が通常やりそうな事はすべて苦手である。実家に遊びに行っても手料理が出て来たことは近年皆無という有様だ。
掃除も苦手だが、結構おしゃれで洋服などは鉄人家族四人分より多分多い。だから散らかる。そして捨てたがらない。物理的に全部は持って行けないので頭が痛いのだ。
でも勝手に捨てると機嫌が悪い。そこで取りあえず服関係はあらかた我家に持って行くことにした。後でかみさんが適当に捨てるという案配である。
台所には怪しげな食品が多数あった。賞味期限などとっくに過ぎている。変な匂いもする。鉄人だんだん限界に近づく。堪えられないのである。普段それなりに清潔な生活をしているので、この環境はちょっと堪えられない。
他の家族も同じであった。作業を初めてわずか2時間余りで四人全員限界を迎えたのである。大型家具はほぼ解体できたので、後は友人にまかせるしかない。彼がプロだからこんな環境にも多分慣れているだろう。
昼飯を一緒に食べないかと母に誘われたが、きっぱり断り逃げる様に実家を後にしたのである。
母が我家に来ても、掃除洗濯料理一切やらせるつもりはないし母も望んでいないに違いない。母には家族の健康管理をしてもらうつもりだ。母は東洋医学の治療師なのである。現在は引退しているが、以前は500名の弟子を持つほどの一応大先生なのである。
一回につき、千円でも払えば母の小遣いにもなるし、ボケ防止にも役立つだろう。まあ取りあえず片付けの第2ラウンドは何とか終了したのである。
ああしんど・・・。