2013年08月16日

邂逅。

「盂蘭盆会」

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今日ある不思議が出会いがあった。鉄人は一昨日からかみさんの故郷である瀬戸内海の島、大崎上島に帰省していたのだが、今日昼過ぎ広島に戻る途中のフェリーでの話。

鉄人は何時もフェリーに乗って車から離れても客室には入らず、瀬戸内の風景を撮るため大概はデッキにいる。今日はデッキのベンチが空いていたのでそこに座っていた。

すると他のベンチが空いているにも関わらず鉄人の真横に座って来た男がいる。若い女性ならいざ知らず「何でやねん」と思ったが、横に座るのは人の自由なので知らん振りをしていた。

しばらくすると隣の男が袋を開いて一個のパンを食べ始めた。横目でチラリと隣を見たら三十歳くらいの西洋人の男であった。鉄人の横に座った理由は鉄人と西洋人の男の席だけ影になっていたからだった。

まあそれでも日本人なら隣に座らないだろうなあと思いながらもせっかくだから彼に挨拶をした。その一言から思いもしない展開になったのである。

彼と目が合った瞬間彼は「コンニチハ」と会釈した。そこで鉄人は「ハロー」と挨拶を返した。あべこべである。そして「そのパンはあなたのランチか?」とちょっと片言の英語でジョークを言ってみた。すると彼がニコーっと笑ってくれた。こころを開いてくれた瞬間であった。

そしてそこから奇妙な会話が始まったのだ。鉄人は片言の英語。彼は片言の日本語、プラス英語である。やはりあべこべだ。しかしお互い片言ながら非常に話しが通じたのである。それは彼が仏教を学んでいたからであった。

彼は現在日本人の奥さんと京都に住んでいた。大崎上島には旅行で来ていたそうだ。昨日は広島にいたそうである。その広島の平和公園にある原爆資料館を訪ねたのだろう彼は現在の世界中で起きている諍いを嘆いていた。そして世界の平和の為には仏教の考え方が大切であると鉄人に語り始めたのである。

西洋人の彼から仏教の話しが出るとは驚いたが、当然鉄人も我が意を得たりと話しが弾んだ。彼は京都の臨済宗のお寺で毎日朝と夕方座禅をしているそうである。鉄人より遥かに熱心だ。そしてさらにびっくりしたのは、初期仏教のヴィパッサナー瞑想もよく知っていたのだ。初期仏教の知識も持ち合わせていた訳である。

仏教国である日本の国民でさえ初期仏教を知っている者はマイノリティである。まさか西洋人である彼の口からヴィパッサナー瞑想という言葉か飛び出すとは。また彼は悟りを本当に開いた者は非常に少ないことにも言及していた。悟りという言葉の意味もそこに到達する難しさも熟知していたのである。

鉄人と彼との会話は、フェリーが竹原港に着く直前まで続いた。まだ話し足りなかったが、港に着いたのでそこでサヨナラした。その時たまたま持ち合わせていたアーチャン・チャーの英訳の本をプレゼントした。彼はまだアーチャン・チャーを知らなかったからである。多分この一冊で彼の人生観はまた違ったものになるだろう。

一期一会の出会いだったが、彼とは前世で会っている。それは鉄人の中では確信的なことだ。そして彼がベンチでくっついて来たのは多分鉄人に求めてくるものがあったのだ。それはきっとアーチャン・チャーの本の為だったのではないだろうか。彼は求道者だったからだ。あれだけ熱心に座禅を学びながらまだ迷いや苦しみの中にいる。アーチャン・チャーは最終的な悟りを開いた人と言われているのだ。答えを探していたのだと思う。

鉄人も苦しみの中にはいるが行くべき道は理解しているつもりである。実践出来るかどうかは別のこととして。その行くべき道を鉄人から情報を得たかったのではないかと今は思うのである。

お互い名前も告げず別れたのであるが、それでいいのである。皆繋がっていると思うからだ。一個のパンが取り持ったとても得難い縁であった。






posted by masa at 21:13| Comment(0) | 日記